時を越える語り手

『デジタル・ナルシス』がおもしろかった。コンピュータとか情報システムの偉いひとたちを、西垣通の目線からふりかえって思いを馳せる本。
ところどころ西垣の上から目線のコメントが入ったり、いきなり映画批評をし出したりして何事かと思った。これは偉いひとたちを語った本ではなく、西垣という語り手の本なのだ。この語り手は、僕のあたまのなかでは、達観した生気のない白いひげのじいさん、西垣老人だった(「クロノトリガー」の時の最果ての老人を思いえがく)。西垣老人が歴史のスナップショットを中空に映しながらどこを見ているのか不可解な目線で語りかける感覚。このじいさんは何かおかしいとしか思えない。しかしおもしろい。
シャノンの章がヤバかった。西垣老人の映し出したシャノンの走馬燈にみえた。劇的に駆け抜けて、どこにも残らなかった。



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