着想:制約は観点を内包する(問い:なぜ制約によって質や生産性が上がるのか)
なぜ制約によって質や生産性が上がるのかと思って、書こうとしたけれど、このときはただの疑問でしかなくて、日付を埋めただけだった。
一つの回答が浮かんだ。すなわち、制約は観点を内包する。観点:ものの見方、ものへのひかりの当て方。連想的に言い換えるなら、ものをみると目的と、その目的のための問いというコンビネーションである。つまり制約は視野の制限でなく、視野そのものである。
木構造(階層構造)で物事を整理することはよくある。場合によっては、その木構造の(ある一面での)表現力のなさが気にかかることがある。木構造は、「全体−部分」や「一般−抽象」関係の構造はかきやすいが、グループの重なり合いや、遠くのものとの関係は、うまくかけない。色気を忍べば、その制約が木構造のもつ観点を強化する。たとえば、手がつけられない大きな問題を、なんとか扱える小さな問題に分割する(それから地道にやっつけていく)という観点を。
文章の構造にも制約をつけられる。たとえば「論点」+「意見」+「理由」という文章の基本構成(山田ズーニー『伝わる・揺さぶる!文章を書く』)。たとえば「たしかに〜だ。しかし〜だ」のように、自分の反対意見をいったん取り上げ、それに対して再反論するという文章の型(樋口裕一『ホンモノの思考力』)。このような制約を意識することで、意外にも文章は書きやすくなる。これは制約を通して「ひとを説得するにはどうすればよいか」という観点が書き手に(おのずと!)導入されるからだと思う。
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