佐々木眞一『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』

製造の話かと思いきやスタッフ業務の話。工場の言葉だからわかりにくい、スタッフには遣わないようにした、と書いてあるとおり、「自工程完結」ってわかりにくいですね。でも話はおもしろいです。

仕事の流れのなかのひとつとして存在する自分の仕事を、あとのひとにしっかりと手渡せるように自分の領域の仕事は完璧なクオリティで仕上げる、っていう考え方かなと解釈。ケチつけられると萎える、クオリティ上がるとモチベも上がる、というのはなるほど。

そのクオリティを確保するために、目的と完了の定義と判断基準を明確化し、それに基づいて仕事のプロセス(ホワイトカラーにおいては意思決定。アウトプットではなく)を洗い出して、常に「よいマニュアル」を編み出しながら仕事するという話。

わりと当たり前で聞きやすい話に感じたけど、それができるかですよね。タスク分割やマニュアル化を意識すると、どうしてもそれがオーバーヘッドに感じてしまって(自分のワーキングメモリを過信して、あるいは威張って)そわそわして早歩きしてしまう。そんななんとなくドリブンで仕事しても結果あとの仕事でしわよせがきてアンハッピーでしょという話。ふんばりが要るよね。

「マニュアル人間」的批判に対する「マニュアルどおりにやったほうがいいのです。なぜなら、正しい結果が出るから」という反論は明解すぎて笑った。属人化した仕事はコミュニケーションにならないから改善もできない、というのもなるほど。