西垣通先生の講演メモ@NLP2009「意識と言語と情報」

@trickenさんのまとめ(西垣通先生最終講義「ラ・マンチャの情報学者」@東大福武ホール - Togetter)をみて、そういえば西垣通先生の講演をメモしたことがあったような、と思い出したので、掲載してみます。
この講演は言語処理学会第15回年次大会(NLP2009)での招待講演です。NLP2009の僕の感想はNLP2009:情報の信頼性を判断する研究が熱い! - 反言子で。
講演資料はこちら(google docs)
以下、メモには個人の感想なども混じっており不正確です。

言語処理学会第15回年次大会 招待講演 西垣通「意識と言語と情報」のメモ

礼儀正しく礼をなさる。みなさんの研究は難しくて役に立つテーマに取り組んでいる。疲れるからリラックスしましょう。「意識と言語と情報」。なんだからよくわからない。意識は3000年前から、おかしくないか、意識がなく生きるのか。二種類の意識(consciousness)がある(知覚イメージ:犬でももってる、脳科学者の研究、と、自我:理性、自由意思)。Julian Jaynes、心理学研究者、『神々の沈黙』。彼は知覚イメージ畑だけど、自我の領域にもちょっと近い。言語(人間のもってるような)をもっていることに注目する。意識の根拠、動物にはない。言語は演劇の舞台みないなもん、台本、言葉が流れていく感じ。そう考えるなら、数千年という仮説もちょっとはわかる。

二分心(bicameral mind):幻聴(意思決定のストレスから!)を覚えるようになって、社会統制、神々の声が生まれる(右脳と左脳?)。神話に感情を表す記述がほとんどない、代わりに身体的な記述(足が震える)だけ。ほかのひとも気づいていたけど、脳ブームからまたJaynesは注目されてる。そして意識が生まれた、すなわち文明が生まれた。戒律になり、経典宗教の誕生。

大規模共同体の不安定さ。戦争とか迫害、自然災害。神の言うとおりにしてもやってけんわ、なんとかしないと。文書、ロゴスに基づいて解決しよう! 歴史みたいなもの、主張、財産とかが出てくる。市民、政治、サイエンス、つまり近代意識→神々の沈黙! 幻聴が聞こえない! 名残は残っている。儀式、占い、信託、偶像、憑依。いまでも幻聴はあるよねー。むしろ、聴きたいことがある! 芸術、スピリチュアリズム。知り合いの精神科医→10人に一人は幻聴を聴く(統合失調症)素質があるよ! Jaynes→3人に一人だよ!

情報の大洪水。現代人は神様の声を聴いて生きているなんて考えないし教育もしない。意識、自由意識、個性をもっているのはあったりまえでしょ! でも、西垣にはみんな自律的にうごいてるようには見えない、マスメディアの影響など。「みなさんのような教養人には嘆かわしい」。本来、人間はそういうマスになるなんかをもってたのでは。ex.ナタデココブーム(知らん。ありのままの人間の姿ってなんだろう!?

ホリエモン:番組の価値なんて視聴者が選ぶんだよ、だから我々は娯楽を提供するんだ。でも、結局はマインドコントロールで儲けているのが彼の隠れた意図じゃね?(西垣)。マスコミの情報操作は現実なのよね。

では、インターネットでは? 大企業だけじゃなく、個人の情報発信、日本はブログ大国(2000万近く)。民主的であるといわれている、しかし本当に読まれていますか? 検索エンジンの下のほうはないのといっしょ、読まれるのは一部。ページランクは生のフィードバック、そのへんのブログとの格差ができる。重要という意味づけはない(ヤフーは違う?)。→大衆的同調(マスコミといっしょ

近代において、個人は思考し意見し批判し合う(学会の目的)。いまは感性のぶつけ合い、炎上。(西垣)これは二分心の復活だ!w べつの観点(とは?)からITの利用法を考えらえないかなあ?

情報は小包なのか? コピペレポみたいに、検索エンジンが神の声なら困るよね。「情報」の意味とは? 情報はわれわれのなかに生まれているのでは→自己言及(autopoietic)システム。思っていることはぐるぐるぐるぐる回っている、入力→処理っていうモデルじゃない、認知主体は閉鎖系やねん! 生物のもっとも基本的な要素である細胞が、勝手に動いてなんかうまくいってる。それぞれが認知主体=意味形成主体になっている。

番組を選ぶのは、社会システムや自己回帰のループができあがっているから(?)→考え方が変わってくるんじゃ。シュレディンガーみたいに生命と情報の不可分を、ノイマンがねじ曲げた。それをウィーナーのパラダイムへ! オートポイエーシスのもとってサイバネティックスなの? 生命情報の観点から情報を捉え直すのも大事じゃないかなあ!(西垣)

思考機械:メインフレームfor効率化ex.第5世代コンピュータ・銀行システム→情報処理が機械的になってギクシャク、対話機械:パソコンforコミュニケーションの活性化・個人と個人をつなぐインフラ、有機機械(タイプIII)を考えてもよいのでは(西垣)。生命を支えるシステム、創発をコンピュータで支援するには? いままでのグループウェアは個人がベース、そのたがを外してみましょう。

二分心の主張、意識的でない部分が大きい(Jaynes? 西垣?)。人間の情報処理をコンピュータにリンクさせていくには? クリエイティブな仕事、問題を解決するための仕掛けを目指す。具体的にといっても困る>< まだ模索段階。

Jaynesみたいに一冊だけ書けてうらやましい。論文量産しないと怒られる>< インパクトのある研究できないよね、そんなんじゃ。

以下、質疑応答

  • いまあるシステムはオートポイエーティック?
    • ネット上のシステムもそういう側面があるとはいえる、しかしうんたらかんたら
  • 暗黙知形式知。自己言及を仮説・検証で回せるならサイエンスだが、いまのウェブはそうではない。暗黙知に踏み込んでいこうということではないか。
    • そのとおり。タイプIIは民主的な目的意識だが、我々はうんたらかんたら……。