『学際研究』読書メモ(0):序文

ふと図書館で目に入って読んでみるとたいへんおもしろそうな本だった。

学際研究―プロセスと理論―

学際研究―プロセスと理論―

学際分野とか融合分野とかについての本はいろいろあるけれど、特定の分野やプロジェクトにこだわらず、ここまで包括的・俯瞰的に「学際」を語る本は読んだことがなかった。

読書メモ(0-1):訳者まえがき

『学際研究』は学際研究の理論とプロセスを述べる本です。目次や索引がしっかりしていて、「教科書として使える」感じがすごいする。日本語訳も読みやすくてありがたい。
学際研究のプロセスのうち重要なものは「ステップ」とよばれます。目次をみるとこの「ステップ」がどういうものかよくわかります。
学際研究とは、専門分野の知見を統合して、包括的な理解を得ること。「専門分野」「知見」「統合」どれもか重要なキーワードで、あとのほうでいろいろ論じられていそう。
感想として、「知見」(insight)というのが重要そうな気がする。「専門分野を統合する」だとおおざっぱすぎて、統合でなく寄せ集め(巨大変数同士の謎の足し算)に陥りそうな気がする。「専門分野」に含まれる多様なあるいは共通な「知見」という下位レイヤーに注目しないと「統合」にはいけない気がする。

読書メモ(0-2):序文

本書『学際研究』の意義とは。

  1. 「知識の進歩」「社会的課題の解決」「統合的な教育」のために学際性という知識形成パラダイムが重要であること。
  2. 学際批判批判。学際性に対する安易で間違った考えを改めてもらうため。「学際なんて難しくてムリ」とか「学際のための方法とか要らない」みたいな。
  3. 学際的研究を実践しているひと、これから実践するひとのための教科書として。
  4. 学際分野と専門分野を区別するため。

「専門分野」というのが重要になってきそう。学際において専門分野は前提となる。
身に覚えのある「思ってしまいがちなこと」を的確に指摘してきて、読んでいて刺激的。