この言葉はフィクションです。あらゆる現実にもとづきます。

夢想にしろ小説にしろ、現象としては起こりえないことを言葉によって再現するという機能を備える。観念を絞り尽くして練り上げる哲学も、魔法と奇跡で彩られたファンタジーも、虚構に対する指向、それを嗜むという嗜好に関しては通じている。
実在する人物と、キャラに見出せる人格、というものの関係をよく思う。肉をもって目の前に居る者、空気を振るわせて音を交わす、現実としての人格が、いかに深みをもち切実であるかは納得できる。そこから目を背けてキャラなるものに人間をみて「一人歩き」だとか「旅立つ」だとか乱暴な比喩で感情の大分を割り振ることに罪悪感をいだくことがある。そこにいる人間をみろよ、こころを通わせろ、自分を磨け。もっともだ、け、ど。