切り離し、推進

情報を外部に委託する癖がある。マウスポインタが指のかたちになる下線のついた文字列に、手にずしりとくるごいつ装丁の一冊に、過剰な情報を見出す。いや、そんな凝った言い回しはどうでもよくて……。
なんでしゃべることが嫌いなのか考えてみた。思い出すということが怖いからだと思う。何かを思い出そうとして、思い出せなくて、本当は何もわかっていなかったんだと気づくのが、怖いんだ。もしかしたら思い出せるのかもしれない。でもそうやってあたまを抱えているうちに冷めてしまう空気は取り戻すことができない。空気なんて掃いて捨ててしまえと、僕なんかは思うのにね。
結局、思い出せないというのは、自分のあたまで考えていないということだ。物語だとか、固有名だとか、そういうのを覚えるのが苦手だなんて言っても、所詮、思い出そうとしないのが原因だ。「あなたが実際に読めばいい」なんていう言い逃れは、この口を開くことに対する億劫にほかならない。
こんな空気。凍らせてやる。鼓動をとめて。おれの話を聞けばいい。