名言を見繕うことの不可能性

なにか気の利いた一言を記したいと、ふと思う。あけすけにいえば、名言を書きたい。しかし名言が名言たるのは、ほかの多くの言葉に支えられているからだ。重厚な文脈に腰を据えているから、名言としての尊厳を保てるのだ。ゆえに、名言を書くことはできない。おのずと生じるものだ。名言といわれるものが本当に書かれたか、言われたかも、疑わしい。じつはないかもしれない。「とてもうまくほのめかしてある要約」じゃないのか。

(2005-10-05)