それと

「超人」という言葉がなんどか出てくるのだけど、それぞれに文脈が異なっていて、この言葉のニュアンスを探っていくのもおもしろい。そういや、桜庭一樹のえがくお兄ちゃんってなんか超人ちっくだよな(笑)

p.137
「超人じゃない限り、おまえは女の子だ。男が送るって言ってるのを断るな」

この文脈(これ以前の会話)では「超人」にかなり具体的な意味づけが成されているのだけれど、「女の子」と対比させるというのは逆に象徴的であいまいな感じがする。深読みかもしれないが、これは一郎がマリの「超人」概念に反論している、ということだろうか。のちにマリが兄に対して用いた「超人」という言葉とは明らかに意味合いが異なるわけだし、マリの変化を鮮明にさせる伏線ともいえるかもしれない。ちょっと言い過ぎた。
ちがう。意味づけは一郎によるものだ。となると、単に一郎が広い意味で「超人」という言葉を遣っているってだけだな。うーん、もったいない誤読だ。惜しい。