坂村健『ユビキタスとは何か――情報・技術・人間』

ユビキタスについてとてもわかりやすく書かれていた。おもしろかった。
技術のマネジメントやガバナンス、また理念といった、インフラ・イノベーションゆえの技術に対する接し方は大切だなあと思った。とくに、環境が人を読むのではなく、人が環境を読むのだという言い回しはすごくしっくりくる(p.130-131)。
本書では少子高齢社会に対応したインフラとしてユビキタスを強調しているようだけど、僕は若いから(ぉ)どうしても実感がわきにくいテーマではある。逆に、生まれたころからユビキタスなインフラが整っていると、と想像すると、完璧にライフログできるよなあ。運動会のホームビデオもけっこうだが(なんの話だ)。そのログをもとにパターンマッチングというか、なんかひとのつながりに活かせたらおもしろいかもね。まあ、おもしろくないけど。
基本的な技術としては、あらゆるモノにユビキタス・コード(uコード)を割り当てて、サーバからその意味を読み取れるようにする(ネットワーク外部化)というもの。uコードの結びつきによって情報を構造化することができる。そのモデルが脳内ネットワークとして比喩できる(p.140-143)ことは、なんだかわくわくするなあ。まさに「世界の記述」だなと。
いまのガバナンスというキーワードにも関わるけど、こういたインフラ的な技術を広め、統一することは難しいんだなあと思った。技術に対する非技術的な見方というのがこれから重要になるのかなあ。いまもか。

ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)

ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)