わたあめ会:『入門政治経済学方法論』第2章 シミュレーション

第2章 シミュレーション:モデル化によるコトの本質の見極め(内木哲也)

入門 政治経済学方法論
シミュレーション、とくに社会科学におけるシミュレーションの意義と位置づけについて学びました。

コンピュータ・シミュレーションのプロセス(p.80 図2-4)

  1. 問題の認識
  2. データの収集、整理と問題の定式化
  3. モデルの構築
  4. コンピュータへの実装(シミュレータ製作)
  5. 実験/訓練・体感

コンピュータの登場によっていままで手作業だった実験が自動化され、シミュレータ製作との区別がなくなりました。その分、利用目的を明確にしなければ、その奥にある科学的根拠もあいまいになることが指摘されています。結果をみながらプロセスを反復しモデルや実装を改善していくことも重要です。
モデリングの授業で、問題は定式化できた時点でほんとんど解決しているという旨の言葉を聞きましたが、経営の問題解決手法やデータマイニングの手法など、具体的な手法に触れていくにつれ、問題の解決において定式化が本質的であることに気づいてきました。まだ、定式化とモデリングの違いがあいまいですが。

社会科学におけるシミュレーションは実験を代替できない

「理論」「シミュレーション」「実験」の相互的な関係が示されていました(p.87 図2-6)。人間の行動はモデル化が難しく、想定外の行動まで考慮しなければ本質的ではありません。また、社会科学で用いられるデータは測定によるものでなく指標データです。よって、社会科学におけるシミュレーションは実証的な検証手段ではなく、仮説を検証し理論を精錬させる手段として用いられます。
簡単にですが、そんなところ。マルチエージェント・シミュレーションはマクロなシミュレーションだと思っていたけれど、個々のエージェントはミクロな視点であり、複合的なシミュレーションだと知った。アクセルロッド『対立と協調の科学』を読みたい。