研究発表のストーリ

修士論文の学内発表会でいろいろな研究発表を拝聴しました。修士ですと内容も濃く、質疑応答も深く厳しいものが多かったように感じました。個々の研究内容を理解するのはどだいむりですが、とりあえずは感想をほんの一側面から残したいと思います。
ちなみに、ペアプログラミング、プログラムの並列化、知識ベース(コモンセンス)、学習科学に基づく授業のデザイン、機械翻訳、文書要約、まちづくり、情報推薦、クラスタ分析、クラスタのラベルづけ、中小企業の経営などに関する研究発表を拝聴しました。いやあ、いろいろですね。

「実験結果」は理解できない

修士課程のみなさんの研究を短時間で理解できるとは思いません。それにしたって、まいってしまうような場面もありました(原因は自分にもありますが)。
プレゼン資料に数字が並んでいても理解するのは難しいです。「実験結果」の意味がわからないのです。つまりどうだったのか、を聞きたいのが心情です。
研究の過程としては、仮説を立てる→実験を計画する→実験する→データを取る→意味を解釈する→仮説に基づいて考察する、というのが一般的でしょう。たぶん研究者にとって実験の負担は大きいです。しかし、実験は研究成果のための手段です。もっといえば、実験結果のデータも研究成果ではないと思います。これって、研究発表の内容から省いてしまってはまずいのでしょうか。
それでもデータを参照すべき場面は、つっこんだ解釈、入り組んだ考察に説得力をもたせたいときだと思います。
データを載せないというのは極論ですね。データを「意味」や「結論」の補足資料として扱うと、僕にも理解しやすい研究発表になるかもしれません。具体的には、
研究の時系列:仮説→実験計画→実験→データ→解釈→考察
という流れを、
研究発表の時系列:仮説→実験計画→解釈(←データ)→考察(←データ)
に変換するという案が浮かびます。「このような実験をしてこのようなデータが得られました」ではなく「このような実験をして〜だとわかりました」のほうがうれしいです。

研究のストーリと発表のストーリ

上で研究の時系列と研究発表の時系列とか書いてみたのですが、すべての研究、研究発表に、このようなシンプルな構造を当てはめられる(当てはめるべきである)とは限りません。独特の流れであるがために、わかりやすくエキサイティングな、逆に、理解しにくくてついていけない発表も、ありました。それぞれの価値をもっとも発揮できるストーリを見出したいものです。こればかりは、いろんなストーリを体験し、そして試行錯誤するしかないでしょうね。
ほかにもいろいろとあるはずなのですが、ひとまずこのへんで。