難しさ・信頼

こういう問いかけがある。

「アジャイル開発 基本のキ リターンズ」- Agile Japan 2012 #aj12 - ヲトナ.backtrace なけなしのお金でプロジェクトをやるなら、どちらのチームに頼む?
  1. 計画書や大量の報告書を納め、依頼したソフトウェアは最後まで秘密にしてくれるチーム
  2. あなたが大事だと考えている順に要求を形にし、テスト済みで毎週届けてくれるチーム

この問いに対して、僕はちょっとしたプログラミングの経験もあるし、アジャイルという言葉も知っているから、自然な立場で選べる気がしない。ごっこ遊びにように「計画書や大量の報告書」か、これは安心できるな。とか、「テスト済みで毎週届けてくれる」か、いちいち確認するのも面倒だし、パソコンのことはよくわからないな。などと妄想をするのは薄ら寒い。でも、きれいに逆の妄想をしてみても、やっぱり薄ら寒い。
単なる現場感覚、経験の欠如なのかもしれないけれど……。
どちらが信頼できるか。

  1. 新しい方法でのりにのっている自信まんまんのここ半年で成功率9割を主張するベンダ
  2. 3年くらいかけて地道に方法を磨いて4割の成功率を7割に伸ばしてきたベンダ

べつに数字はなんでもよい。パラメータをいじればもっと楽しい占いかもしれないけれどどうでもよい。
難しさに対する理解、というものに興味があって、問題は難しくなるまえに片づけろ(難しくなった問題は聖人にも無理ゲー)って老子とかもたぶんいってるし、そこにあるはずの難しさを理解することができず、できない、なぜかできない、と苦悩するのは悲しい。なぜできないんだ、なぜできないんだ、と悩んでいるひとにとって、その問題が難しいからだ、という答えって、浮かんでくるだろうか。
しかし「難しいからできなくても仕方ない」という合理化の誘惑は強烈で、難しさへの理解っていうのは、こころの強さが必要だと思う。また難しさの説得も同じような心理的難しさがある。なぜテストの点数が下がったのか、と問う(叱る)母親に、それはテストが難しかったからだ、と教えることはできるだろうか。この難しさが、注意すべき強力な難しさだとしたら、点数の低下はむしろ成果だ。
おわり。