道具としての文学・数学/『「百学連環」を読む』読書メモ

Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » 山本貴光さん:「百学連環」を読む
西周(にしあまね)の「百学連環」という講義録を解説した連載。「百学連環」とは「エンサイクロペディア」の訳語。

第133回 新たなる百学連環へ向けて

西先生は、欧米の学術を文字通り身をもって受けとめ、従来の漢籍の教養をフル活用しながら、しかしそこには収まりきらない知識や発想に対して、新たな日本語を創造し、ときに工夫を重ね、現代にいたるまで使われ続けることになる言葉の礎を築いたのでした。この「百学連環」のとりわけ「総論」は、そうした営みのエッセンスが煮詰められた稀有な記録と言ってよいと思います。

「学際」とか「学問分野」を考えるうえで参考になりそう。原著を読むのはたいへんそうなのでありがたい。
すべての学問の道具となる学問分野として「普通学」を分類しているのがおもしろい。

第132回 学術分類の行方

このように、文学と数学の二つが「普通学」としての位置に残されています。この二つは心理、物理の両者に関わるものだという指摘にも注意しておきましょう。

「このように」のところはリンク先を参照いただくとして、普通学に対する「個別学」が「心理」の学と「物理」の学に分かれているのがおもしろい。「心理」の学とはひとの内側の学で、「物理」の学はひとの外側の学にあたると思う。ではそのはざまにある「普通学」とは何かというと「言語を使いこなして理解や表現をする方法論」ではないかと思う。文学は「質」に重点をおいた言語方法論、数学は「量」に重点をおいた言語方法論、なんじゃないかと。

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西周全集〈第4巻〉 (1981年)

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