現在に対する分析不可能性

そのきみは好き。
そのきみは嫌い。

好き。嫌い。好き。嫌い。
このくらいのことでは、
ああ、好きだなあ。
僕は、きみを。

きみはきみであるならば、
そのきみはきみに不十分。
きみにはきみが必要なの。
そして十分なの。きみだ。

だからわからない。
僕にとって、きみは……?

多面を翻し舞うきみを、
刹那に切り取り、かろうじて。

どれだけのきみを
いったい何乗すれば、
きみの姿は浮かぶのだろう。

いいや、それは姿でないだろう。

そしてきょうもまた、
みたことのないきみ。

神はサイを投げた。
僕はサジを投げる。

好きは好きであるならば、好きだ。