ネットワークの実体

ギャルゲは主人公よりもヒロインのほうが感情移入できる。主人公は原則として「だれをも好きになりうる」必要がある。その限りで、はぐらかされる彼の心情は決して「本心の伏線」ではなく、ただのあいまい性である。その揺らぎを恋とよぶことも無茶ではないが。主人公を軸に展開されるヒロインの心情は、主人公の非決定性によってこそ安定させられている。だから、ヒロインにはつねに感情移入できるし、また、決してできない。