美崎薫『デジタルカメラ2.0』

デジカメの歴史を追っていき、さらにデジカメの機能や周辺機器の発展からデジカメの可能性を探っていく本。カメラってなんだ、写真ってなんだ、という根本的な疑問を投げかけてくる。「画像を検索する」ってどういうことだろう。

デジタルカメラ2.0

デジタルカメラ2.0

量の変化は質を転換する。ディスプレイや記録媒体の性能が向上し、デジカメがアルバムになるという視点はおもしろい。
フォークソノミーに関する考察は興味深かった。たしかにタグづけに興じるひとはごく一部のコアユーザで、実用的な分類のためには専門家による地ならしが必要なのかもしれない。楽曲のデータベースではそれがかなり混乱しているようだ。かといって専門家はタクソノミーのための活動が仕事ではない、というあたりはやはり難しい。
新しい機能や性能の向上から、新しい概念や可能性を読み解く一方、その限界やあやふやさを示してくれる。結局、デジカメ2.0なんてバズワードなのだ。だからこそ、なんだかわくわくさせてくれる。