風が吹くと誰が儲かる

昼ごろに家を出たが寒かった。自転車をこいでいるとからだの先端部分がよく冷えた。よく冷えたからだをガッコウに配達した。手や鼻はよく冷えているのだが寒いと感じない。寒いと冷たいはなんだか違う。
まだ日の沈まない夕方ごろに帰ったがやはり寒かった。寒いと、心臓のまわりをあたためるだけで精一杯な感触を受ける。しかも冷える。
帰りにスーパーによった。しばらくすると惣菜と弁当が値引きされていった。狭いお店なのですこしひとが群がっただけで窮屈になり、しばらく避難していた。
さらにしばらくすると、うずたかく積まれた3個105円のいなりに50円引きのシールが貼られていった。きょうは寒くてもうだめだと店員のおばさんが嘆いていた。店員のみなさんは、いなりが50円でお買い得である旨を客にアピールしていた。105円の商品が50円引きであるのに50円であるという非合理的なオペレーションになぜかこころが打たれた。いまここで起きていることが、このお店でしか成立しえないリアルだと感じた。
帰り道で空がきれいに焼けていた。きれいな空をみる機会は、生きていれば何十回とある。僕がこの空をいまみる以外の仕事は求められない。
リアルは解釈に関係しない。ただあるだけ。