現象学とオントロジー工学

存在を客観的に定めることはできない

オントロジーと現象学(『コンピュータの中の脳 −情報基盤の進化論−』)

オントロジー工学なんてのは根が哲学であるからして突き詰めると存在や認識の基礎に踏み込むものだが現象学というのは聞き慣れないわけでもないがろくに中身を知らないのでこう結びつけられるとめんくらう。しかし存在あるいは概念の体系なんてものをわれわれ人間がどうやって決めつけるのかという当然の問題に端を発する。そして"「客観的」とか「主観的」という区別が、いかに不安定なものであるかを教えてくれる"(上リンク)らしい。

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現象学Memo: 現象学的還元とは?
Phenomenology (Stanford Encyclopedia of Philosophy);あとで読む。存在論や論理、こころの哲学などの引き合いがおもしろそう

「哲学とAIにおける対象世界モデリング

人工知能学会誌における連載。リンク先はCiNii。

「哲学とAIにおける対象世界モデリング」の企画にあたって

  1. オントロジーの哲学的・論理学的背景
  2. フッサールのフォーマルオントロジーとその影響
  3. 現代のフォーマルオントロジーの動向とオントロジー工学
  4. オントロジー応用のための方法論の考察と展望
  5. 現代記号論の構想 : 若干の問題とその構図
  6. DL : Description Logics
  7. 対象モデリングの視点から見た知識表現

第1-4回が岡田光弘さん(慶應大哲学科)の担当。「存在」「言語」「思考」の関係に対するさまざまな見方について議論が紹介されている。ウィトゲンシュタインとか現代の哲学に興味があるひとなら「言語」に立脚する哲学にはなじみがあるはず。その歴史的な位置づけがわかる。一方でフッサールのフォーマルオントロジーが(たぶん)「存在」に立脚した理論であることがわかり、より広く無矛盾な説明を目指す哲学理論の職人技らしさを感じた。
第3-4回はあとで読む。
冒頭のリンク先におけるフォーマルオントロジーとマテリアルオントロジーの対立については理解しきれていないが、人工知能研究における内容指向と形式指向の関係に近いものがあるのかなあと思った。