卒研テーマを決めるなんて考えちゃダメ

読み飛ばすところ↓

研究の流行とか意義みたいなものは学生にわかりづらい。興味のあることに、むかしは盛り上がってたけどいまはねえ、とかいわれると、むっとするが、べつに知ったことじゃない。星の数ほど細分化された研究テーマがあるのに、どうして視聴率みたいなもんで意義を問われんといかんのだ。かといって、第一線の研究者数人の研究や意見をふまえたうえで、でも! これこれこういう可能性があるんです、と主張できるほど勉強していない自分もみっともない。
卒業研究の第一の難関は研究テーマの決定だと思う。興味のないことに努力できるほど立派なひとでなければ、興味に関係のあるテーマを探すのが無難だ。しかし、興味のある研究テーマを探そうとしても、なんで、なんらかの研究に興味があることを前提にしているんだ。ほとんどの学生は研究に興味をもったことなんてない。興味に関係する研究テーマはもしかしたらあるし、ないかもしれない。自然に考えて、興味と研究テーマは結びつかない。
では、どうやって結びつけるか、なんていう難しい問いもあるけれど、とりあえずは興味と研究を切り離すのがかろうじて建設的な考え方だと思う(でも、それができるのは、僕がささやかにも研究に興味をもっているせいかもしれない)。我々がたいして興味をもたずにこなしてきた講義や演習と同じように、研究テーマの決定という科目に取り組むのは、僕よりもまじめであるたいていのみなさんにとって易しいのではないか。要するに、研究テーマの決め方なんて、自分探しでも哲学的問いでもない。そう理解したほうがらくだ。
「何がやりたいの」という質問には身構えろ。その問いは学部が教育の場であるという前提から狂おしいほど乖離している。いや……もはや被害妄想だけど。

サーベイの方法

科目「研究テーマの決定」の脳内単位を得るためのスキルは研究のサーベイである。方法については以下が勉強になる。
文献検索の手引き[初心者編]
サーベイに関するQ&A
しかし何をサーベイすればいいのかわからない。だから、べつにサーベイしなくていい。とりあえず学術情報を入手する方法を理解して、そのあとでサーベイ対象を見つければいい。見つかるか知らんけど。(変な言い方をしたが、個人的にはサーベイには目的が必要で、そうでない散策のようなものから始めればよいと考えている)

学術情報を入手する方法

論文を読むにはお金がかかる。情報系の学会やデーベースについては論文の公開について - 発声練習が詳しい。たいてい恨めしい料金だが金のかかる雑誌の論文を読めるようにする10の方法 - Myrmecoleon in Paradoxical Library. はてな新館のような工夫もできる。
学部生なら大学図書館で雑誌や電子ジャーナルを購読していないか(たとえばCiNiiの利用が割安になる)調べたうえで、ないなら指導教員に尋ねるのが一番である。お金がかかりそうでも先生に打診すれば何かある(笑)かもしれない。大学図書館ってけっこうすごい。うちの場合、電子ジャーナルとデータベースで運用費の半分を占めているらしい(いや、学術情報の値段がすごいのか)。あと、うちの学部の資料室では、ある学会の研究会の資料がアーカイブされていた。さいきん知ってびっくりした。大学ってけっこういろいろある。
卒研に取りかかるまでに余裕があるなら(っていうか大学1年生から)興味のある(とかいっちゃだめか)学会に入会してみるのが一番手頃な情報収集かなあと思う。雑誌代だけでも十分もとがとれるはず。図書館で雑誌を眺めてたらおもしろそうなやつが見つかる、といいな。