特集とインタビューは雑誌の武器

人工知能学会誌の1月号を読んだ(目次はまだリンク先に載ってない)。ベテランから学生までAI研究に関するさまざまな抱負が特集されている。人工知能の可能性を高らかに語るものもあれば、専門的な研究の紹介もあって色とりどりでおもしろい。ほかの学会誌でもそうだけれど、個々の論文としては難しそうで避けてしまいそうなものも、特集されていると興味がもてる。
人工知能学会誌には学生フォーラムという企画がある(人工知能学会 学生編集委員)。毎号、学生さんの研究者へのインタビューがまとめられている。研究者のドラマやメッセージが伝わってきて、また専門的な知識もわかりやすく紹介されている。よく学生でこれだけのものが書けるなあ。
1月号では東大の大澤幸生先生が紹介されていた。『チャンス発見のデータ分析』(asin:4501542004)を読んだことがあったので、この技術(Key Graph)が生まれるまでのいきさつを楽しく読めた。大澤先生がさまざまな分野を渡り歩いてきたことも知った。こういう話題は、いま興味のあること、やりたいことに取り組むことを肯定してくれるような明るさがある。
ちなみに、前回の11月号(Vol.23 No.6)ではなんでもRSSの奥村先生が取り上げられている。
特集とインタビューなんてぜんぜん違うものだけれど、特集はテーマを軸にひとのあいだを結びつけるもの、インタビューはひとのもつドラマやメッセージを引き出し広げるものとするなら、なんだか対比的でかつ補完的な気もする。個々の焦点からは見出せない価値に迫るのが編集というプロセスなのかなあと思う。