パターンは初心者に新しい経験をみちびくか

パターン(問題解決の明快な経験則)を学習するときの葛藤として、そのパターンを実践したことのある経験者ほどパターンを理解しやすい一方で、経験のない初心者ほどそのパターンは理解が難しく、そして有益である(もちろん経験者にとって無益ではないけれど)。
パターンは経験の出発点になる。パターンへの理解が経験を動機づける。そういう理想も思い描ける。けれど初心者にとっての高度なパターンは、まず問題への理解がおぼつかないことがある。「パターンの使いどころ」という索引が取り込めないから、実践の機会に「これだ」と気づけない(悲観的には)。パターンへの理解にそのパターンの実践が必須でないとしても、そのコンテクストに立った体験、その問題にぶつかった体験は基礎になりそうだ。
パターンを知ることで問題を見つけやすくなったなら、そこで実践を通して理解を深められる。難しいパターンからもすこしはそのような視点を得られると期待したってよいだろう。
ここでこの問題をパターンから捉えてみる。
名前:問題がわかると解決もわかる
コンテクスト:あるパターン・ランゲージを学習するとき。かつ、そのパターン・ランゲージの扱う分野に対する経験が浅いとき。
問題:学習を進めるのが難しく、成果を実感できない。どのように学習を進めればよいかわからない。
フォース:問題解決への理解には、まず問題への理解が基礎になる。体験したことのない問題に対しては、なぜそれが問題なのかもわかりにくい。起こりうる問題とその解決策についての全体像がえがけると(わかったつもりになって)安心できる。
解決:パターンそのものではなく、そのパターンを通してコンテクストや問題を見つけるための視点を学び取り、経験の機会につなげる。言い換えれば、パターンを実践するという大問題は保留し、そのパターンが扱う問題を発見するという小問題に目を向ける。
結果:ある問題に直面したとき、それを問題として理解でき、効果的にパターンを学習、そして実践できる。