実川真由・実川元子『受けてみたフィンランドの教育』
親子で書かれた本。娘さんの体験記と、母親による解説。どちらの視点もおもしろくて、メリハリがあって楽しく読めるし、何より親子で一冊の本をつくるということに感銘を受けた。雑多な資料などもなく読みやすい。
- 作者: 実川真由,実川元子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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フィンランドでは早い時期から将来のことを考える。けれど、日本のように18歳で大学に行くのはめずらしく、ぶらぶらしたりバイトとか兵役をしたりするそうだ(ヴァリヴオシというらしい)。留年にもおおらかで、わかっていないのに卒業することがむしろ恥ずかしいという文化。この「早いけど速くない」というのは「ゆとり」の基本だと思う。
就職には実務経験が重視される。日本のように大学間の格差が広がっていないので、大学でいかに活動し、能力やビジョンを養うかが重視される。あたりまえのことだけれど、日本でそれが難しいのは、結局のところ旧来的な企業の文化によるのかな、と大学と企業の結びつきみたいなものを悟った。
フィンランドで教師は知的専門職として評価される、社会的ステータスの高い職業。先生たちは学校の勉強が得意だったから教師になり、勉強を教えることに特化してはたらく。教育の「育」ではなく、「教」を重視してこそ尊敬される先生になる、という真由さんの意見にはなるほどと思った。
教育や職業のシステムは家族や企業の文化に根深く関わってしまっている。簡単にハックできない代物である以上、個人としていかに生きるかを考えないといけないですね。
真由さん同い年やわw なかなかショッキングですが(体験記もリア充すぎて当てられる)、自分なりに生きるしかない。
メモゆとりというもののあり方が根本的に違うね。早い時期から考えるけれど、決定するのはじっくりと。職業と教育の結びつき、日本だと大学にも格差があるからか。向こうだと実務経験が重視される。だから高学歴の就職率が高いのも自明。教育と仕事の関わりについてもうすこし知りたい。歴史の浅い国だから教育というコンセプト。好きな仕事をみつけるための教育。
職業と教育が深い関わりをもっているとはどういうことか? 大学の格差、実務経験の重視、終身雇用・年功序列、教育としてのインターン、社会通念的な年齢制限、教師の社会的ステータス、知的専門職、教えることに特化。