文章を書く意義

人はなぜ文章を書くのか。その「真実」なんて、そう簡単にわかるものではないでしょうね。あえていうなら、その「真実」を見つけることが、その目的なのかもしれません。

とまあ、そんな抽象的なことはおいておき、ここでは、僕なりの「文章を書く意義」を書き出してみようと思います。僕は、文章を書くことには内的意義外的意義の二つがあると考えます。

内的意義

内的意義とは、文字通り、自分自身に向けられる目的です。

  • 「思考」:書くために考えること,書くことで考えられること
  • 「記録」:備忘録,後に「保存」へ転化
  • 「自慰」:おなぬー

「思考」とは、考えることです。書くためには、考えねばなりません。自分の考えを言語化するために思考錯誤することで、より考えが深まります。さらに、僕は、この段階から自動的にもうひとつの効果が得られると考えます。それは、言語化されたことで、より考えが深まることです。言語化するために考えること、言語化されたことで考えられること──文章書くことは、このサンドイッチによる考えの深まりを生みます。

このことについては、“数学の問題を解く”ことが、良いたとえになるでしょう。ある問題を解くときには、まず考えねばなりません。そうすると、「こうすれば良いかな」という仮説が考えつき、それを書き出すことになります。数学いうのは不思議なもので、「良いかな」という程度の考えでも、正解にたどり着いたりします(高校数学までしか知らない僕がいえることではありませんが……)。ここで、その「正解」を見つめることで、さらに考えが深まることがあります。「単なる式の変形で「答え」が出ちゃった。逆に、その答えを見ることでやっと「意味」がわかった」──このように、書くことには、常に二重のアプローチが秘められているのです。

「記録」について、これはいわゆる「備忘録」のことです。「思考」にもつながりますが、自分が考えたことを、言語化して残しておくことには、大変な安心感があります。さらに、この「記録」は後に「保存」に転化します。「記録」と「保存」の境界はあいまいですが、僕は、「記録」の本質はこの「保存」にあると考えます。

「保存」とは、“残す必要のなくなった自分の考え”が存在する状態、と定義します。すなわち、“「記録」した「思考」に、今の自分とのズレが出るようになった”状態を指します。いわゆる“読み返してハズかしい文章”が、これに当たります。どこかのサイトに「文章を読み返して恥ずかしいと思うのは、自分が成長したからだ」というようなことが書かれていました。僕はこの考えに大変共感を抱きます。頭の中には留められない「過去の自分」を見つめることは、文章を書くことでしか得られません。

「自慰」とは、……定義が難しいです。国語の教科書に、「哲学をするのは、自分の中の風通しをよくするためだ」と書かれていました。この「風通し」っていう表現がしっくりきます。しばしば見かける「自己満足」という言葉も、これに近いものがあると思います。なんだか、よくわからないです。

外的意義

これも文字通り、他人に向けられる目的です。

  • 「表明」:他人を動かす意見,批評・批判
  • 「共有」:普遍的データ,「なんか知って欲しいなー」という気持ち
  • 「交流」:だきしめたり、ちゅっちゅしたり、セックスしたり

「表明」とは、自分の意見を他人、あるいは事柄に向けてぶつけることです。「主張」という言葉の方が、近いかもしれません。自分の意見によって、他を動かす力をもつことから、「ぶつける」という表現がしっくりくるように思えます。ただし、それが社会を大きく動かす力になるか、それとも、単なる素人批判に終わるかは、書き手次第でしょうね。

「共有」とは、データベースをはじめ、技術系のマニュアルなどの、普遍的な情報が公開されることです。これに加え、僕は、“「他を動かす力」を伴わない意見も”これに当たると考えます。たとえば、いわゆる「あー、あるある!」と思いたくなるような文章には、「表明」という言葉はそぐわないように感じます。いま僕が書いているこの文章も、「表明」より「共有」に近いものがあります。僕は、「アンタらが文章を書いてる理由はこうだからなんだよ、こうあるべきなんだよ」と言いたいのではなく、「僕はこんな理由で文章を書いてるよ。ところで、アナタはどうして書くのかな〜」というニュアンスで、この文章を書いています。「表明」と「共有」──個人的に、この違いは大きいなー、と思います。

最後に、「交流」について。まあ、これも定義が難しいわけで……。上には「だきしめたり、ちゅっちゅしたり、セックスしたり」と、トンデモナイことを書いたりしました。とはいっても、ネットに文章を書く以上、少なからず「交流」というのは意識しているものでしょうね。心の、中でなら、ちゅっちゅしたいって思うときもありますよー。

とまあ、以上が、僕が文章を書く意義です。たぶん、これからもどんどん変わっていくことでしょうが、とりあえず今の時点を書き出してみました。以下のリンクこそ、ホントのおすすめ!

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