ほかにやり方を知らないから

いままでに図書館から得た利益(謎)を考えると、これからの人生において本を買うことをためらう必要はないように思う。利益というのはあまりにぼんやりしているので、単純化に極論を重ねて言うなら、図書館から今後の人生において1000万円に相当(謎)する価値をいままでに受け取ったから、月に数万円を本に費やしても当分マイナスには至らない。とはいえ、プライスレスな価値もたくさんある以上、こういう試算は自分が納得するためにしかならない。
僕はいま金銭的にかなり余裕がある。もちろん、借金のことを考えないなら、だけれど。この大学生活を続ける限り、また、院に進学するならさらにその分、僕は借金を増やし続ける。この経済的な計画の将来的な価値をどのように見積もるべきなのか。借金を減らすために節約するべきなのか。それとも、先のことは先のことか。あるいは、まだカネが足りないというのか。
ところで、プライスレスな価値とはなんだろうか。表面的なことをいえば、金銭の移動なしに完結する欲求の充足である。そして、その表面的な言い方でしか語ることができない。
カネは価値の尺度なのか。価値を実現するためのツール、そのひとつだと思う。価値がカネによって表されるのではない。
ある作者がいる。その作品がある。僕がその作品に価値を感じた。僕はその作品に欲求を向けた。ある行為によってその欲求は満たされた。作品に対する欲求は作者に及んだ。僕はその欲求をどうすれば満たせるのか。プライスレスな価値とは、何も特別なものではない。カネはこころを殺さない。紛らわせる、というだけのこと。
何も意味のあることは申していない。好きに遣えるだけのカネが欲しい。ただそれだけのこと。